法人形態を選択してください

C-CORPORATION

日本でいう普通の株式会社です。法人(会社)で決算をし、利益に応じて税金(法人税)を支払います。日本にある企業が米国でビジネスを行なう場合、つまり、子会社のような形をとる場合、ほとんどがこの形態となります。

 

法人(会社)として純所得に対して法人税を支払い、さらに株主に対して配当を出した場合、受け取った株主はその配当に対して個人(株主が法人の場合は法人として)所得税を支払うことになります。この「法人でも税金を払い」そして「配当が出ると個人でも税金を払う」ことから「二重課税」を強いられるというデメリットがあります。一方で、誰でも株主になれるため、世界中から広く投資を集めたい場合などには最適です。

 

また、配当を出さない限り、個人(法人が株主の場合はその法人)にまで税金の問題がおよばないため、日本と米国で完全に税務を分けたい場合はこの形態が最適です。

LIMITED LIABILITY COMPANY(LLC)

最大の特徴としては、C Corporationのように法人として税金を納める必要はなく(州によっては小額の州税が発生します)、法人で出た利益のすべてがそのままメンバー(株主のようなものです)に流れ、その流れてきたものを各メンバーが個人の米国確定申告(メンバーが法人の場合は法人税務申告)の中に取り入れて、あくまでも個人の収入として税金を支払うこととなります(これをパススルーと言います)。つまり、上述のC Corporationで説明をした「二重課税」の心配をしなくていいことになります。 

 

ちなみに、損が出た場合には、その損も個人(または法人)に流れてきますので、例えば、AさんとBさんが50%づつのメンバーであるLLCが100ドルの損を出した場合、AさんとBさんにそれぞれ50ドルづつ損が流れます。もしAさんに300ドルの個人的な所得があった場合、その300ドルとLLCから流れてきた50ドルの損とを相殺することができます。結果、Aさんは250ドル(300ドル-50ドル)に対して個人所得税を支払うことになります(説明をシンプルにするために、その他の控除などを省きます)。 

 

またLLCは基本的にはパートナーシップであり、個人間の契約としてメンバー間で色々な取り決めができることがメリットと言えます。例えば、Aさんが60%の持ち分、Bさんが40%の持ち分でLLCを始めたとします。通常であれば、儲かったら(損をしても)Aさんが60%、Bさんが40%をもらうことになりますが、LLCの場合はその割合を自由に変えることができます。そのため、60%の持ち分のAさんが儲け(または損)の20%を、40%の持ち分のBさんが儲け(または損)の80%をとるという契約にすることもできます。 

 

LLCは個人的なリスクを回避しつつ、二重課税も防げる(パススルーによって)ということで人気のある形態となっていますが、日本では外国法人扱いとなるため、日本と米国の税務は完全に切り離されることになります。そのため、不動産投資で減価償却のメリットを日本側に取り入れるというようなスキームを検討されている方には不向きと言えます。

 

カリフォルニア州など、州によっては特別なFeeが課せられることがありますが、ハワイ州には特別なFeeはありません。 

 

尚、LLCから流れてきた所得には個人確定申告においてFICA(社会保険税)がかかる場合がありますので注意が必要です(申告書上はSelf Employment Tax=個人事業主税として表記されます)。 

 

 

*メンバーが単独の個人の場合(Single member LLC)、表面的にはLLCですが、実務レベルでは個人事業主として申告をすることになります。  メンバーが単独の法人の場合は、その法人が米国において税務申告を行うことになります。

日本法人ハワイ支店

法人として不動産投資をする場合にもっとも多く利用される形態です。日本の法人が外国法人としてハワイ州に登録をします(ハワイ支店となります)。 

 

外国法人としてビジネスを始めた場合に、C Corporationなどと同じように、米国において法人税務申告書を提出し、利益が出れば税金を納める必要があります。 

 

ハワイ州への登録の際には、日本の登記簿謄本の英訳とその公証が必要であったりと、現地法人の設立に比べて少し面倒な手続きを要します。 

 

個人と同様、米国での活動の収支を、米国はもちろん日本の決算にも含めることになります。そのため、米国で赤字が出た場合、日本側にその赤字を取り込むことができますので、日本側の利益を抑えることができます。

 

デメリットとしては、調査が入った場合には日本にまでおよぶという点になります。 

*S-CORPORATIONにつきましては、米国非居住者が株主になれないため、選択肢から外しております